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介護現場の腰痛防止策

介護の腰痛 リフトで防ぐ
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=83622&cx_text=11&from=yoltop

介護現場で働く職員の深刻な腰痛を減らすため、国が新たな対策指針を打ち出した。リフトなどの福祉機器を積極的に利用し、原則として人力で高齢者らを抱き上げないよう求めた。リフトを活用している施設では、腰痛予防に加えて、サービス向上にも成果が出ている。


介護職員の腰痛が増えている。社会福祉施設で、腰痛による労働災害(4日以上の休業)件数は11年に1002件となり、02年の2・7倍になった。これを受け、厚生労働省は6月、「職場における腰痛予防対策指針」を19年ぶりに改訂した。

指針は主に重量物を扱う事業所などに対策を促すものだが、福祉や医療現場にも適用を拡大。原則、人力で人を抱き上げることはしないよう求めた。前かがみや中腰の姿勢で人を持ち上げると腰などに大きな負担になり、腰痛の危険があるからだ。


普及にあたり、課題の一つが費用だ。厚労省は、300万円を上限に、福祉機器の導入費の半額を補助する制度の活用を呼びかけている。

もう一つの課題は、「人力が当然」「リフトによる介護は冷たい」という職員の価値観を変えることだ。「人力でやった方が早い」と、リフトが十分に活用されないケースもある。


厚労省は指針改訂に伴い、介護事業者を対象に、腰痛予防の講習会を全国各地で開く。また、労働衛生の専門家が400施設を個別訪問し、具体的なアドバイスをする事業も始める。

指針改訂に携わった労働安全衛生総合研究所の岩切一幸・上席研究員は「定着には、職員がリフトを使いやすい環境を整えることが欠かせない。同じ時間帯に多くの高齢者の移乗を行う介護方法の見直しや、リフトの使用の積極的な評価などが求められる」と指摘する。