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腰痛の原因となる姿勢は中腰


腰痛大国・日本 日常的動作の「中腰」を回避せよ
http://dot.asahi.com/wa/2013051000048.html

日本は腰痛大国。これが要介護を招くとメディカルガーデン整形外科(千葉)の伊藤晴夫院長は言う。

「腰を痛めると歩くこともままならず、放っておくと筋肉が衰える。寝てばかりだと膝や股関節、内臓の機能を低下させる“負の連鎖”が起きるのです」

となると、日々欠かせない家事の最大のポイントは、腰痛を招く「中腰の姿勢」を避けること。
伊藤医師は「台所のシンクの高さが身長と合っているか確認して」と呼びかける。

背が低い人は体が反り気味に、背の高い人は前かがみになりがち。
そんなときに役立つのが踏み台だ。
背の低い人は台の上に乗って、背の高い人は片足だけ乗せて片膝を緩く曲げ、料理や洗い物をすると腰の負担が軽くなる。
野菜の皮をむくときも椅子に座ることをすすめる。

「体のためにすべきラクもある。最近の冷蔵庫は取り出しやすい構造ですが、下段から食品を出すときは両膝を床につけましょう」。

掃除機をかけるときも、延長管でホースの長さを調整しよう。
「縦型」を選べば体を起こして使える。床拭きも注意が必要だ。

「雑巾がけでなくモップで拭けば膝を守れます」。

洗濯物を干すのも、かがんだり背伸びしたりすると腰に負担がかかるので工夫を。
洗濯物の入ったカゴは台の上に置けば、かがまずに衣類を取り出せる。また、物干し竿は「腕を伸ばし切らない高さ」に調整しよう。
洗濯物をしまう際、タンスの下の引き出しへ入れる場合は膝を床につけるほか、よく使う衣類を上段にしまう。
さらに伊藤医師は、荷物の持ち方も指南する。

「買い物が多いなら“両手”に分ける。宅配便で届いた荷物を運ぶときは、慌てずに、ゆっくり腰を下に落として体に引きよせて持ち上げればぎっくり腰を防げます」

毎日の些細な積み重ねが、将来を左右する。

※週刊朝日 2013年5月17日号

最新の腰痛情報(2013.5)


現時点での適切な治療を示した「腰痛治療ガイドライン」
http://news.livedoor.com/article/detail/7675120/


「腰痛治療ガイドライン」の策定委員会委員長を務め、慢性腰痛の治療に詳しい福島県立医科大学会津医療センター整形外科・脊椎外科教授の白土修医師に、ガイドラインの意義と今後の慢性腰痛の展望について聞いた。

*  *  *

わが国の腰痛患者は3千万人ともいわれ、なかでも原因のはっきりしない慢性腰痛に悩む人はそのうち約85%といわれています。

今回発表した「腰痛診療ガイドライン」は、今までに報告された国内外の約200本の研究論文を整理、分析して、現時点での適切な腰痛治療のための指針を示したものです。

慢性腰痛の治療において、非常に高い科学的根拠が認められるグレードAは、運動療法(ストレッチング、ウオーキングほか)、認知行動療法(心理行動的アプローチ)、薬物療法です。
それ以外の装具療法(コルセット)、手術療法などは中等度のグレードB、物理療法(けん引)は科学的根拠がはっきりしないグレードIということがわかりました。


今回の結果は、今までさまざまな腰痛治療を受けてきた患者さんにとっては、少なからず衝撃的だと思いますが、それだけ慢性腰痛の診断と治療は混沌としていて、治療を受けても改善しない患者さんが多いことを示しています。

昨今の超高齢化社会を背景に、日本整形外科学会は「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」というキーワードを提唱し、運動器系、とくに腰痛をはじめとする脊椎脊髄疾患に注目しています。
ガイドラインの結果については、整形外科の専門医ではない、地域のかかりつけ医の皆さんにも十分に理解していただき、少しでも多くの腰痛の患者さんの症状が改善され、予防にも役立つことを望んでいます。


またいちばん大切なことは、治療を受ける患者の皆さんに、自分にとって最適な治療を選んでもらうことです。腰痛の治療は多岐にわたりますが、不適切な治療を受けて、腰痛を悪化させてしまうケースを臨床現場で数多く見てきました。腰は文字どおり身体の要ですから、慎重に医師を選んでいただきたいと思います。

今後は、さらに臨床報告や試験の結果を集積、整理し、さらなる腰痛治療の向上をめざしていきたいと思います。

※週刊朝日 2013年5月17日号

心と腰痛の関係性


心の問題と「腰痛」が結びつくことも 40歳男性の場合
http://dot.asahi.com/wa/2013051000047.html


日常生活が送れないほど腰が痛いのに、はっきりした原因がわからないことも多い慢性腰痛。腰痛の患者数は3千万人ともいわれる。昨年11月、治療指針である「腰痛診療ガイドライン」がまとまり、科学的根拠に基づく治療法ごとの有効性が示された。

神奈川県在住の会社員、高橋敏則さん(仮名・40歳)は2010年春、会社で走ってきた同僚と激しくぶつかる事故に遭い、腰に強い衝撃を受けた。その後、腰が痛み、足にもしびれが出て、会社を休みがちになった。

高橋さんは、大学時代に椎間板(ついかんばん=背骨の間のクッション)ヘルニアの手術を受けたことがあったため、腰の痛みが再発したことをとても不安に感じた。近所の整形外科でMRI(磁気共鳴断層撮影)検査を受けたが異常なし。その後の痛みは尾骨にも広がったが、再度検査をしてもやはり異常はなかった。

医師からは「慢性腰痛だと思うが、原因はわからない」と言われ、関東労災病院勤労者筋・骨格系疾患研究センター長の松平浩医師を紹介された。松平医師は同院で厚生労働省委託事業として、腰痛の研究を兼ねた診療を実施していた。

松平医師は言う。「高橋さんはX線、MRI、血液検査でも特に異常はありませんでした。そこで、週1回、1時間ほど問診をし、生い立ち、仕事、生活、人生観などについて聞くアクティブリスニングをおこないました」。

アクティブリスニングは、腰痛の原因となっていると思われる問題点(症状、人間関係、ライフスタイルなど)を確認し、共感して傾聴するという方法だ。

それにより、高橋さんが事故の労災保険がなかなか認定されないなど会社の対応に不満を持っていたことや、その後移った新しい会社でストレスがたまっていることなどがわかった。また、日々の腰痛の程度などを記録する「腰痛日記」を2カ月ほどつけてもらったところ、長い会議の後など仕事のストレスが高まるときに腰痛が出現することも判明した。

松平医師は、会社を休まず、不安やストレスに感じる思考を極力転換し、前向きな考え方をするようにと高橋さんに話した。同時に腰をそらすマッケンジー法という運動療法をすすめた。

高橋さんは、実家が東日本大震災に見舞われた際にも腰痛が強くなり、心的ストレスと腰痛との関係を如実に認識。11年4月には、腰痛持ちを自覚する要因となるコルセットをはずし、水中ウオーキングなどを続けた。その結果、9月に父親が倒れた際、3カ月間、週末に実家に通って介護をするという厳しいスケジュールをこなせるまでに腰痛が回復。その後、海外旅行に行けるまでに改善した。

「高橋さんは心の問題と腰痛が結びついた典型的な例です。腰痛を自らコントロールする術を学んだため、快方に向かいました」(松平医師)

※週刊朝日 2013年5月17日号

新治療 椎間板に骨髄細胞を注入


骨髄細胞を注入、椎間板性腰痛に新治療法
http://www.qlifepro.com/news/20130504/is-bone-marrow-infusion-intervertebral-discs-and-back-pain-to-new-treatment.html


腰痛治療の新しい治療法が期待できることが、小規模研究でわかった。

その治療法というのは、幹細胞を豊富に含んでいる骨髄を採取して濃縮し、再注入することによって、磨滅してしまった脊椎椎間板を修復するというものである。

ただしまだ確定ではないため、研究を重ねる必要があると専門家は述べている。


米コロンビア・インターベンショナル疼痛治療センターのJoseph Meyer Jr.氏らは、濃縮させた骨髄細胞の注入を受けた患者24人の経過を研究した。

患者には3カ月~1年にわたって持続する慢性腰痛があり、画像検査を行った場合にどの患者にも脊椎の椎間板に変性または損傷がみられた。

殆どの場合は慢性腰痛の患者に対しては運動や減量に効果があるが、そうでない場合は脊椎固定術が検討される。


Meyer氏は、手術の前に骨髄治療を試してみることを提案した。

この治療法は、腰の後部から針で骨髄を採取し、細胞を濃縮した後、損傷した椎間板の周りに注入するというものである。

治療には数千ドルの費用がかかってしまうため、保険は適用されないということである。