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腰痛へのアセトアミノフェンに効果なし

オーストラリア・George Institute for Global HealthのChristopher Williams氏らは,急性腰痛に対するアセトアミノフェン(パラセタモール)投与の有効性を検討する初の大規模ランダム化比較試験(RCT)を実施。同薬は,腰痛から回復するまでの日数,痛みの程度や機能,睡眠の質,QOLの改善のいずれにおいてもプラセボと同程度であったことをLancet(2014年7月24日オンライン版)で報告した。今回の知見は,腰痛に対する第一選択の鎮痛薬として同薬が広く支持されていることに疑問を呈するもの。

腰痛へのアセトアミノフェンに効果なし より

あなたの腰痛の原因は「ゆがみ仙骨」にあるかも?

東京女子医科大学の東医療センター整形外科の神戸克明准教授は「原因不明の腰痛は仙骨の歪みによる場合が多い」という。仙骨は骨盤の中央にあって、背骨を支える土台の役目を果たす。この骨が歪むと『歪み仙骨』となり腰痛を引き起こす。

腰痛の85%原因不明

  神戸准教授「通常の場合、仙骨の傾きは背骨に対して25度で、この傾きが大きくなるとつられて背骨までが湾曲して、背骨同士がぶつかりあったりします。腰痛の原因は重心が前方にかかる前のめりの姿勢にあります」。美容院を経営する50代女性は「お客さんの髪などを洗う時に前かがみになると痛みが走ります」と悩んでいる。

 司会の羽鳥慎一「美容師さんなどは仕事柄、前のめりになることが多いから腰痛になりやすいかもしれないですね」

 神戸准教授「前屈姿勢の作業が多い方は、体のバランスを取ろうとして仙骨が後ろ側に傾いてしまい、知らず知らずのうちに仙骨を歪めてしまいがちです。上向き姿勢で寝ることも腰に負担をかけます。背骨はS字カーブを描いているものなのですが、仰向けで寝ると背中とお尻の部分が沈み込んで、仙骨の反り返る角度が大きくなります」


体も心も併せた全体を表す「身(み)」の所見

腰痛 「身」の所見で原因探る
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=85280

腰痛に悩む人はわが国で約2800万人と言われています。50歳代の男性Bさんも、30年間続く痛みに悩んでいます。軽い脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)が見つかり20年前に手術を受けたのですが、良くなりませんでした。手術は成功しているのに、どうして腰痛が続くのでしょうか。

診察をすると、舌の周りに強い歯形がついています(舌歯圧痕(ぜつしあつこん))。首の後ろから両肩にまたがる僧帽筋に、強い凝りと圧痛を認めます。次に、意識障害や肩関節の筋力をみる「アームドロップ試験」をしてみました。私は慢性的な緊張の有無を診るのにこの試験をよく使います。Bさんの両腕を持って肩の位置までTの字のように持ち上げて手を離すと、彼の両腕は何度繰り返しても落ちません。

これらは、体も心も併せた全体を表す「身(み)」の所見と呼ばれます。

また、腰椎の両側の筋肉を指で押さえると強い痛みを訴えました。X線やMRI(磁気共鳴画像)などの画像検査では異常を認めません。

以上の体の所見より、〈1〉Bさんは若い頃から歯をかみ締めて頑張って生きてきたため、慢性的な緊張を抱えている〈2〉痛みは「筋筋膜性腰痛」という(検査では異常が見つからない)機能性の痛みが中心である――ということが分かります。Bさんの腰痛については、脊柱管狭窄という器質的な病気があったとはいえ、痛みの大部分は機能性の痛みだったのです。

「腰痛診療ガイドライン2012」(日本整形外科学会・日本腰痛学会編)によると、腰痛患者のうち原因の分からない腰痛が85%。それほど腰痛は難しい。では、心療内科医はBさんの治療をどのように行うのでしょうか。詳しくは次回で。(清仁会洛西ニュータウン病院名誉院長・心療内科部長 中井吉英)

(2013年9月26日 読売新聞)